道場に来たばかりの頃はうつ絶頂期で、体はとても弱っていました。
ある診療院に行って、オーリングテストを受けたのですが、笑えるくらいまったく力が入らなかったのですね。
親指と人差し指がスルスルで、なぜ、うつというだけで体がここまで衰弱するのか、その因果関係が謎でした。
ずいぶん昔ですが、田口ランディさんの小説で、『コンセント』という作品がありました。
デビュー作です。ひきこもりを真っ正面から取り上げた作品で、その時代にとても斬新な登場の仕方でした。
実話がもとになっており、長い間ひきこもりをしていた田口さんのお兄さんが主人公で描かれています。
そのお兄さんがある日突然、奇妙な死を遂げるのです。ひとり暮らしをしているアパートで死体が見つかったという知らせが入ります。死体は全身から血が流れていました。自殺でもないし、無論、誰かに殺されたわけでもなく、病気でもない。その不可解な死の原因は何なのか、主人公の足跡をたどりながら物語は進んで行きます。
これ、読んでいてとても恐かったです。
ひきこもりの真っ最中だったので、他人事ではありません。
自分の末路を見ているようでした。
うつって、体の力がどんどんどんどん抜けてゆくのですよね。
マクロビオティックの本と出会った時、体には本来、自然治癒力が備わっている、と書いてありました。
それはそうです。指を切ってけがをしても、自然治癒力がなければ、血は流れっぱなしです。ですが、軽い切り傷であれば、放っておけば治ります。そうやって小さなけがや病気なら、わざわざ病院に行ったりもせず、(多少のケアならするでしょうが)気がついたらいつの間にか治っていた、という風にして人は毎日を生きています。
なのに、どうしてわたしだけ、うつが悪化して、病的な人になって、病人になってしまったのか。
普通の人にはあるという自然治癒力がなぜ自分には効力が発揮されなくなったのか。
単なるうつっぽい性格の人がひきこもるようになったというお話ではいつからかなくなって、もしかしたら自分は正真正銘の精神病だったのか。
それ系の本も読みあさり大いに悲嘆にも暮れましたが、その基本は食でした。
食事を変えて、玄米と野菜を食べるようになって、うつは治りそうな気配をみせながら、ほかも少しずつ健康になっていきました。
わかりやすいところではまず、生理痛がなくなりました。
これ、すごい事だと思います。
以前なら鎮痛剤を飲まないと過ごせなかったのに、それが飲まなくてもぜんぜん平気になりました。まったく苦痛がありません。
のちに栄養学の師匠のような方と知り合いになるのですが、その先生に「私、食事を変えたら生理痛なくなったんだよねー。びっくりしちゃった」と話したら、「それはそうよ。」とあっさり一言。
なぜかというと、「女性にとって体の自然な現象なんだからその度ごとに痛かったら困るじゃない」。
つまり、生理痛はないのが当たり前なのです。
さらにそののち、マクロビオティックを勉強するようになったら、なんと妊娠中のつわりなんかもないのがほんとうだそうで、そうおっしゃる先生は何人もお子さんをお産みになられた強者先生でしたが、そうなのだそうです、女性の体というものは本来。
これ、驚きませんか?
不調があるのが当たり前じゃないんですよね。
その原因のおおもとは、食べもの。
だから食べものは見直す必要があるのですね。
で、体のだるさも軽減、しました。
疲れにくくなりました。
これ、うつの人にとってはとても重要です。
疲れやすいと、やる気が起きないし、持続もしません。
体が動かせるようになると、ああもう少しあれをやってみようかとか、心が少しずつ前向きになっていくのですね。
良い方向へ向かって、進展をしていました。