そのマクロビオティックの本は、装丁も古めかしく、文章もいかめしい文体で綴られていました。
すべての病は食べ物が原因である、と書かれています。
たとえば、幼い頃に、大人になるまで生きられないでしょうと医者に宣告された人が、食事を変えた事で高齢になっても生き長らえている話であるとか、難病が治ったとか、そんな実例が紹介されていました。
病気が食べ物で治ると言われてもね。にわかには信じられません。
ですが、白砂糖が元凶であるという一文を目にした時、直感的に「あっ!まずい!」でした。
いままで私は相当、問題のある食事をしてきたのかもしれない。
毎日のようにケーキを食べていたし、スナック菓子やおせんべいや、アイスや菓子パンなんかの甘いものもたくさん食べて、その割に太っていないから大丈夫だろうと高をくくっていたけれど、明らかに不健康な食生活を長年続けていました。
そのツケはいつか回ってくるかもしれないという漠然とした不安はありました。
胃や腸の病気であれば食べ物で治るかもしれないけれど、心の病はまた別だからムリかもしれない。なんて考えつつも、もしかしたら食事を変えたらうつも治るかもしれないと、希望が見たくて、翌日から玄米・菜食に切り替える事にしたのです。
マクロビオティックは、当時は(今から13年近い前です)かなりマイナーでした。
街にお洒落なマクロビオティックのカフェなどが出現するのはその少し後で、マクロビという言葉もまだなかったかと思います。
今も依然、全体から見ればマイナーかもしれませんが当時は比べ物にならないほどで、大きな書店に行っても、1册しか本が置いてない状況でした。
本を読んでみると、どうやら食べ物には陰やら陽やらがあるようだけど、そこからどうやって献立を作ったらいいんだろうか、わかりません。
で、私は自己流でマクロを始める事にして、とりあえず「食」のルールを決めました。
内容は、以下です。
・主食は白米から玄米にする。
・白砂糖は使わない。
・料理にお砂糖は使わない。
・なるだけ旬の野菜を取り入れる。
・出来れば無農薬、減農薬の野菜にする。
・乾物類、海藻、豆、雑穀を取り入れる。
そんな食事をするようになって3ヶ月くらいたったある日。変化が訪れました。